旧いまここにあるもの

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「日曜洋画劇場特別企画 連合艦隊司令長官 山本五十六」を観る。

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まず始めに、こういった作品は「史実」といいつつも創作で補っている部分が多々あるという点を踏まえ、1つの視点だけで全てを語るのは愚かしいという事を十分に理解した上で観賞しなければなりません。
 
戦争という題材を扱うと多かれ少なかれ自国を正当化or美化しがちで、特に米国に代表される勝者の作る映画は自らの失敗を認めない事が多々ある。
では本作はどうか?。
体裁としては戦争映画となっているが私はむしろ当時の世相を通し今現在の日本の在り方を問う風刺映画だと感じた。
 
責任能力と共に未来を見据える事の出来ない指導者。
自分達の使命である事実を報じようとしないマスコミ。
他国からの度重なる挑発行為によって生じている軍拡も辞さないという論調。
都合の良い情報だけを摂取し続ける盲目で怠惰な大衆。
etc.
 
何十年も前の愚行を今まさに繰り返さんとしている日本人への警鐘。
それと同時に山本五十六氏のように国を真に憂い未来を考え行動出来ていない者たちへの批判。
 
きっと政治"屋"たちが本作を観たら居た堪れない気持ちになるに違いない。
(まぁそんなマトモな感覚を持っているとも思えませんが…)
 
その一方で戦争・反戦映画として観た場合インパクトは弱く、戦闘シーンも淡泊なら人間ドラマも簡素で正直物足りない。
感情を押し殺し職務を全うせんとする主人公を引き立てる為か全編に渡って一歩引いた傍観者的な演出をとっており、「真珠湾攻撃」「ミッドウェー海戦」といったハイライトシーンや主要人物の死ですら同じトーンで淡々と描かれ終始盛り上がりに欠けた印象だ。
無論そういった部分に力を入れれば良いという話でもないのだが、映画なんだしもう少し欲張っても罰は当たらなかったのではないか?。
 
メッセージ性に関しては単に「反戦」と叫ぶのではなく今の日本へ向けたよりダイレクトな物となっていて素晴らしいのだが、それ以外の部分に特筆すべき箇所がなかった事が残念でならない…。