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「機動戦士ガンダムUC episode5 黒いユニコーン」

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episode5 「黒いユニコーン

 
■脚本 むとうやすゆき ■絵コンテ 村瀬修功古橋一浩 ■演出 佐藤照雄
総作画監督 高橋久美子・玄馬宣彦・荒木信二郎 作画監督 赤堀重雄堀内博之・辻繁人・柴田淳・飯島弘也・富岡隆司・藤澤俊幸・杉本幸子
 
トリントン基地を急襲したジオン残党軍との戦いを終えたバナージとリディの前に突如飛来した黒いユニコーンバンシィ」。
それは圧倒的な力でデルタプラスユニコーンガンダムを行動不能に追いやる。
 
機体を鹵獲されコックピットで意識を取り戻したバナージはバンシィから降り立つマリーダの姿に驚愕しながらも開示された「ラプラスの箱」の情報にロックを掛け口を噤む。
一方、ビスト財団に捕らえられ成層圏を浮遊する大型輸送機ガルダへ移送されたオードリーは同胞の安全と引き換えにバナージの説得を強要されていた。
運命に翻弄される少年少女たち。
 
そんな中、上層部の不振な動きに気付き独自に情報を収集していたブライトは事態を把握する為バナージに接触
そして「ラプラスの箱」を謀略の手から守るべくガランシェールにコタクトを取りネェル・アーガマとの共同作戦を提案する…。
 
策謀渦巻く成層圏で人々のドラマが交錯し物語は地球から再び宇宙へ。
 
今回の見所はサブタイトルとなっている黒いユニコーン=バンシィの活躍と思いきや、実は「バナージとオードリー」・「ジンネマンとマリーダ」の再会だったりします。
共に出会いのシチュエーションを踏襲する形で再会を果たすのが興味深く、バナージの手を拒みリディと共に地球へ下りたオードリーが今度はバナージの力で宇宙へ上がっていく構図。
そしてカークスとロニの悲劇と対を成す様なジンネマンとマリーダの再会がシリーズ通して観ている者として感慨深いものがありました。
 
そんな再会を果たした人々の傍らですっかり爪弾きにされたリディ少尉。
オードリーへの求愛が玉砕し、その鬱憤をガンダムにぶつけようとすればバンシィフルボッコにされアームド・アーマーVNでデルタプラスを解体される始末。
再調整されたマリーダさんの悲劇性も霞んでしまうくらいの、どん底っぷりには同情せざるを得ません(苦笑)。
額から血を流しギラギラに殺気立った目でバンシィを見つめる姿には好青年の面影一切なし。
お守りと言っていたペンダントが捨てられるなどダークサイドに落ちた事がこれでもかと強調されていて彼の将来が心配です(汗)。
 
爪弾きと言えばepisode4では全く出番が無かったネェル・アーガマの面々が戻って来たのは嬉しいですね。
何気にタクヤとミコットがまだ乗艦していて驚きました。
オットー艦長も相変わらずの中間管理職っぷりを発揮し、ブライトさんからの勅命を目にし口に含んだ紅茶を撒き散らするシーンは笑いを堪えるのが大変でした。
これは恐らく『ガンダムUC』唯一のギャグシーンになると思われますが部下たちのリアクションが秀逸(笑)。
 
コミカルなシーンで言えば連邦の黒い三連星こと「トライスター」のワッツがユニコーンに踏み台にされるという既視感溢れる描写や、再調整されたマリーダを気遣うも完全にスルーされる憎めないアルベルトなんかも哀愁が漂っていて可笑しかったです。
 
ガンダムUC』では毎回、主人公を導く大人の存在が不可欠ですが今回のエピソードでは我らがブライトさんが失意のバナージの背中を押し進むべき道を指し示してくれます。
アムロの写真を見て「笑うなよ」と微笑み「あの子の直感に賭けてみるさ」とつぶやく場面などは往年のファンにとって感慨深いシーンとなっており、ニュータイプという存在を間近で見て来た人間だからこそ掛ける事の出来る言葉の数々には胸が熱くなります。
トライスターの面々にして「上司にだけは恵まれた」と言わせる人望の厚さ。
独自の人脈と情報源を駆使し敵対勢力にすらコンタクトを取り作戦を立てる指揮官としての能力。
本当に良いキャラクターです。
 
そして1stガンダムからのゲストキャラクターとして忘れてならないのはカイ・シデン
ブライトさんに比べれば友情出演程度ですが物語を進める為の重要な役所として確り印象を残してくれます。
 
戦争という悲惨な状況が激戦と共に描かれたepisode4と違い今回は相手を殺さない事が前提の戦いなので戦闘シーンは控え目。
しかしビームマグナムを撃ち動作不良を起こしたデルタプラスや、武装を解除されたユニコーンアンクシャビームサーベルを奪うカット、更にガルダに着地したユニコーンの足にアンカーの様な突起物が展開するなど細かい描写には唸らされた。
 
このエピソードのハイライトである推進力が足りないガランシェールをMSで押し上げようとする場面は、やはり『逆襲のシャア』を意識しているのでしょうね。
ユニコーンガンダムの真の力によってガランシェールネェル・アーガマが光に包まれ軌道を変えるシーンなんかは正に「アクシズ・ショック」の再現。
ここでダグザさんとギルボアさんの姿がカットインされる演出も心憎く、 バナージというキャラクターが出会いと別れを経て獲得した物が集約された実に感動的なシーンです。
 
そんな直前の感動もどこ吹く風で最後の最後に美味しい所を全て持って行ったフルフロンタルとアンジェロですが、この場面でローゼン・ズールがマップ兵器的に描かれていたのには正直萎えました。
サイコミュ兵器とメガ粒子砲による一騎当千はまるでフリーダムガンダムだし、シナンジュに会釈してから横にはけるのも擬人化し過ぎではないかと。
 まぁepisode4で手を繋いだり、頭にビームライフル突き付けるユニコーンデルタプラスも冷静に見るとどうかと思うんだけどね(苦笑)。
 
そんでもって部下に露払いをさせメインデッシュを独り占めにするフルフロンタル。
通常の3倍の速度で連邦の超ド級戦艦ゼネラル・レビルに接近しバズーカ「ドカン」で次回に続くとか、どんなジャンプマンガだよ!!。
個人的には宇宙空間まで離脱したガランシェールネェル・アーガマの前にゼネラル・レビルが立ちはだかる所までの方が綺麗に纏まったと思うんだけどねぇ…。
 
今回は全体的にドラマ重視のエピソードなのでキャラクターの感情を伝える丁寧な作画、特に喜怒哀楽の表現が素晴らしかったです。
「バナージにアムロの姿を重ね送り出すブライト」
ユニコーンの姿を見て優しく微笑むオードリー」
「ジンネマンの言葉に反応し涙を流すマリーダ」
「苦悩し狂気に染まっていくリディ」
「託された意志と共に凛とした表情を浮かべるバナージ」
どのシーンも観ている者の感情に訴えかけるだけの力を持っています。
 
人間関係においても大きなターニングポイントを迎え登場人物の立ち位置も大きく入れ替わったepisode5。
ラプラスの箱」を巡る戦いは更に加速しepisode6へと続きます。