旧いまここにあるもの

Yahoo!ブログ時代のアーカイブ。記事内のリンクが上手く機能しなかったり、タイトルが文字化けしたり、画像のアスペクト比が可笑しいのはダメダメな移行機能の所為。新ブログはこちら→https://imakokoniarumono.hatenablog.com/

『モンスターズ/地球外生命体』(2011) -★★★☆☆-

イメージ 1

スタッフ&キャスト

原題: MONSTERS
製作: 2010年 イギリス
時間: 94分
監督: ギャレス・エドワーズ  
脚本: ギャレス・エドワーズ
音楽: ジョン・ホプキンス
出演: スクート・マクネイリー(アンドリュー・コールダー)
    ホイットニー・エイブル(サマンサ・ワインデン)

あらすじ

太陽系内に地球外生命体の存在を確認したNASAは探査機を使いサンプルの採取に成功する。
だが大気圏突入時にメキシコ上空でサンプル容器が破損、それを機に地上では新種の巨大生物による被害が拡大し始める。
それから6年。
アメリカ軍の封じ込め作戦により危険地帯として隔離されたメキシコでスクープを狙う戦場カメラマンのコールダーは現地で負傷した社長令嬢のサマンサをアメリカの国境付近まで送り届けるよう依頼される…。

予告映像

感想

端的に言えば『クローバーフィールド』と『第9地区』を合わせた様なこの作品。
驚くべきはその製作費、なんとたったの1万5000ドル!!(日本円で百数十万円)。

超低予算ながらその野心的な作風が評価されメガホンを取ったギャレス・エドワーズローランド・エメリッヒ版を無かった事にすべく製作が進んでいる新生ハリウッド版ゴジラの監督に抜擢されたそうだ。
 
役者は無名。資金が少ないのでCGも粗くモンスター"ズ"と言いながらわんさか登場する訳でもない。
ハッキリ言ってもの凄く地味な作品なのだがロードムービー+サバイバル+ドキュメンタリーな作りは非常に興味をそそられる。
 
基本は危険地帯から家族が待つアメリカを目指す男女が安全なルートを進めずモンスターがうようよ潜むジャングルの中を横断するというお約束の展開。
(しかも戦場カメラマンと社長令嬢の身分違いの恋というオマケ付き)
木々の間から聞こえてくる不気味な声。水中に蠢く謎の触手。そして暗闇の中での突然の襲撃。などなど、
モンスター映画特有のドキドキ感は十二分に堪能出来るでしょう。
 
しかし本作の観るべき点はそういった部分ではなく風刺を効かせたリアルな情勢描写。
例えば映画の冒頭で
「こんな危険な場所に住んでいて怖くないか?」
という問いに現地のドライバーから
「仕事も家族もここにある、他に行く場所がない」
という諦めにも似た返答が返って来るのだが、この短いやりとりだけで作品世界へと引き込まれてしまった。
 
モンスターに関しても何もしなければ大人しく、むしろ軍の爆撃による被害の方が大きいといった点も非常にリアルで、ただ単に「異物を排除しろ!!」というアメリカ映画とは一線を画した間接的な戦争批判や自然破壊への警鐘なども感じ取る事が出来る。
森の中で朽ち果て廃墟と化したビルや破壊された戦車などが作り出す抒情的な風景も『機動警察パトレイバー2 THE MOVIE』を彷彿とさせ印象深い。
 
「子供の笑顔を写したって一銭にもならないが死体ならば大金で売れる」
と語っていた主人公が子供の亡骸を前に撮影をせず布を掛け花を添えるシーンなどドラマとしてグッと来るポイントも多く、国境を越え2人の旅が終わりスタッフロールが流れた時、それが冒頭の映像に繋がるという演出も心憎い!!。
身分違いの主人公とヒロインの刹那の恋などロマンス要素までエッセンスとして加わって本当にてんこ盛りな作品でした。
 
タイトルと内容に差があり巷では賛否両論だそうですが個人的には良い物を見せて貰ったと思います。
しかしこの監督のゴジラ…。
一体全体どうなるんだろうか?。