あらすじ
進学も決まり、まったりと卒業までの日々を過ごしていたある冬の日。
唯はクラスメイトが話していた卒業旅行の話題に触発され梓を含めた軽音部の面々での海外旅行を計画。
紆余曲折の末、目的地をロンドンに決め旅立つ。
異国の地で珍道中を繰り広げる中、今年で学校を去る唯・澪・律・紬は密かに後輩の梓への贈り物を考えていた…。
予告映像
感想
最早説明する必要もない『けいおん!』の映画版。
最初にやると聞いた時は「なにをするのさ?」と懐疑的でしたが、蓋を開けてみれば「なるほどね」と思いました。
要するにTVドラマなんかが初回放送や劇場版で海外ロケやるアレを『けいおん!』でやってるんだよね。
バンドの海外ツアーの密着ドキュメンタリーにあるオフショットみたいな感じで珍道中を繰り広げつつ、現地のイベントに飛び入り参加したりとまさに「放課後ティータイムinロンドン」て感じ。
あのメンバーだけでの海外旅行を承認する親の放任主義っぷりにツッコミを入れつつも(何気に唯の両親初顔出し)、海外旅行あるあるをふんだんに盛り込んだ賑やかな旅行風景は本当に楽しそうで自分も行ってみたくなりました。
緻密なロケ班している事が伺えるロンドンの街並みや人々のファッションなど現地の空気感もよく表現されてたんじゃないかな?。
(行った事ないけど)
無論それだけだったら単なる観光映画で『けいおん!』である必要性は感じない。
この作品の上手いところは映画らしいスペシャル要素としてロンドン旅行を描きつつ、同時に梓に贈る「天使にふれたよ!」の製作秘話的な要素を織り交ぜた点。
最終回で披露したあの名曲がどういった経緯で生まれ、どういう気持ちで梓の前で歌ったのか?。
それを盛り込んだ事でこの映画版がTVシリーズにスッと馴染んでくれました。
終盤はTV版と映画版で同じ事柄を描いており新規作画しているとは言え一部重複する箇所もあるのですが、物語の落とし所としては仕方ないですね。
初見で見るにはハードルが高く、良くも悪くもTVシリーズを知っている人が楽しむファンムービーではあるのですが、そこらの実写作品よりよっぽど凝った絵作りをしていて唸らされます。
最後の最後、下校時に会話しながら歩く、唯・澪・律・紬の足元だけを映すあの演出。
歩き方だけでキャラクターが確り描き分けられていて私は感動しました。
パンフ読んだら監督がこだわったシーンらしく納得。
アニメなのにピントによる距離感の演出も多数あり、映像作品として優れた表現が満載です。
勿論そういった専門的な見方をせずとも、
くだくだな唯とか、怖がる澪とか、律ちゃんのボケとか、紬の癒しっぷりとか、あずキャットのぺろぺろオーラとか、さわちゃん先生のセンスとか、憂の完璧ぷりとか、『けいおん!』らしさ全開で微笑ましかったです。鑑賞後、私はこの映画を踏まえた上でもう一度TV版の最終回を見直したくなりました。