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『ノーカントリー』(2007) -★★★★☆-

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スタッフ&キャスト

原題: NO COUNTRY FOR OLD MEN
製作: 2007年 アメリ
時間: 122分
監督: ジョエル・コーエンイーサン・コーエン 
脚本: ジョエル・コーエンイーサン・コーエン
音楽: カーター・バーウェル 
出演: トミー・リー・ジョーンズエドトム・ベル保安官)
    ハビエル・バルデム(アントン・シガー)
    ジョシュ・ブローリン(ルウェリン・モス)
    ウディ・ハレルソン(カーソン・ウェルズ)
    ケリー・マクドナルド(カーラ・ジーン)
    ギャレット・ディラハント(ウェンデル)
    テス・ハーパー(ロレッタ・ベル)
    バリー・コービン(エリス)
    スティーヴン・ルート(ウェルズを雇う男)
    ロジャー・ボイス(エル・パソの保安官)
    ベス・グラント(カーラ・ジーンの母)
    アナ・リーダー(プールサイドの女)

あらすじ

狩りをしていたモス(ジョシュ・ブローリン)は、死体の山に囲まれた大量のヘロインと200万ドルの大金を発見する。
危険なにおいを感じ取りながらも金を持ち去った彼は、謎の殺し屋シガー(ハビエル・バルデム)に追われることになる。
事態を察知した保安官ベル(トミー・リー・ジョーンズ)は2人の行方を追い始めるが…。

予告映像

感想

コーエン兄弟監督作の中でも最高傑作との呼び声が高い『ノーカントリー』をやっとこさ拝見。
いやはやホント凄かった。
そんでもって無茶苦茶難しかった(苦笑)。
 
徹底的に説明を廃したストーリー。淡々と繰り返されるシュールで不条理な殺戮描写。
そしてハビエル・バルデム演じる殺し屋シガーの存在感。
 
ダークナイト』のジョーカーが混沌を体現していたとすれば、このキャラクターは前触れも無く訪れる避けようのない不幸そのもの。
独特の風貌。どっからどう見てもサイコな立ち振る舞い。そして極め付けがあのボルトピストル。
CSI:マイアミ7』に登場した火薬を用いた小型タイプではなくガスボンベを繋いだ簡易版で、それを無理矢理持ち歩いてる姿がかえって不気味。
 
恍惚の表情を浮かべながら保安官を絞殺し。車を奪う為だけに家畜を殺す要領でドライバーの額に穴を開ける。
ボルトピストルでモーテルのカギをぶち壊し、サプレッサー付きのショットガンでギャングを仕留めるシーンは圧巻。
潔癖症なのか殺害後に返り血で衣服が汚れていないかチェックする仕草もゾッとする。
 
組織の金を持ち逃げしたジョシュ・ブローリン演じるモスとの血で血を洗う追い駆けっこは生半可なホラー映画では太刀打ち出来ない程の緊張感に満ちており、派手な演出など一切無いのに気付けば手の平に汗が滲んでいた。
 
追う者と追われる者、欲を出し人生の選択を誤った男の末路が本作のテーマかと思いきや、
離れた位置で事件を観察していたトミーリー・ジョーンズ演じる保安官が本格的に関わりだした途端、主題がガラッと変化し驚かされる。

日本では『BOSS』のCMイメージが強過ぎて顔を見るとつい笑えてしまうトミーリー・ジョーンズですが、やはり渋くて格好良い。
人々の心が廃れ目を覆いたくなるような犯罪が横行する世の中を憂いたベルのキャラクター像は『セブン』のモーガン・フリーマンを彷彿とさせ味わい深い物がありました。
 
シンプルな追跡劇と思いきや、終盤で一気に深みを増す物語。
あの結末もさることながら、作中に溢れる意味深な台詞や描写が何を意味しているのか読み解く事が出来なかったのが非常に残念です。
パズルのピースは見付けられても、それをどうはめて良いか解らない。
本当に悔しいなぁ~。
あと何年かして物事の見方が変わった時もう一度挑戦してみたいと思います。