スタッフ&キャスト
2009年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を獲得した戦争映画。
まぁ由緒ある映画祭のグランプリ作品て総じて作家性が強いエロイか地味なんですが、本作も御多聞に漏れずそんな感じ。
全編戦車の中と、そこから覗いた外界の景色だけで構成された、かなり斬新な構成で舞台劇を観ている様な感覚になる。
戦車内の匂い立つような空気感が伝わって来る映像も力が入っていた。
しかし素人目に観ても、
「そんな瓦礫だらけの狭い場所に戦車は入っていかないだろ」
とか
「スコープ(と連動していると思われる砲塔)が機敏に動きせ過ぎだろ」
といったツッコミ所が多く違和感が絶えない。
比べるのもどうかと思うが戦場の風景も『プライベートライアン』や『ブラックホークダウン』ほど強烈ではなく、戦争の凄惨さを伝えると言うよりは極限状態に置かれた兵士たちの感情のぶつかり合いがメインと考えた方が良い。
作品の内容を誤解したまま観賞しなければ、なかなか味わい深い作品だと思う。
悪夢の様な一夜を終え初めて映し出されるスコープ越しではない外の世界。
ラストカットの青空と戦車と首をもたげたヒマワリが何かを暗示している様で印象的だった。
それと駄文なのだが作中、『キングダム-見えざる敵-』でジェイミー・フォックスの相棒として印象的な活躍をしたアシュラフ・バルフムを見付ける事が出来て地味に嬉しかった。
「あの前歯の隙っ歯具合は!!」
と思って調べたらドンピシャでしたよ。