スタッフ&キャスト
原題: SURROGATES
製作: 2009年 アメリカ
時間: 89分
監督: ジョナサン・モストウ
脚本: マイケル・フェリス 、ジョン・ブランカトー
音楽: リチャード・マーヴィン
出演: ブルース・ウィリス(トム・グリアー)
ラダ・ミッチェル(ジェニファー・ピータース)
ロザムンド・パイク(マギー・グリアー)
ボリス・コジョー(アンディ・ストーン)
ジェームズ・フランシス・ギンティ(キャンター)
ヴィング・レイムス(予言者)
ジェームズ・クロムウェル(キャンター博士)
ジャック・ノーズワージー(-)
デヴィン・ラトレイ(-)
マイケル・カドリッツ(-)
ジェフリー・デ・セラーノ(-)
予告映像
感想
『ダイハード』『アルマゲドン』のブルース・ウィリス主演とあって売り文句は「アクション超大作!!」となっているが実際は「小粒のSFサスペンス+ヒューマンドラマ」として観た方が正しい作品である。
人々の生活がサロゲートと呼ばれる身代わりロボットに移行した世界。
それによって事故や殺人による死傷者がほぼゼロになった社会で発生した15年ぶりの殺人事件を軸にこの物語は展開するのですが設定考証に綻びが多く一発ネタの観が否めません。
例えばこういった社会システムの割にセキュリティ面がえらく脆弱で簡単に他人に成り済ませたり、サロゲートを操作している無防備な人間を呆気なく殺害する事が可能なのだ。
これで死傷者が15年間ゼロというのは幾らなんでも無理がある。
比べるまでも無いが、この辺り同じ様な世界観である『攻殻』の緻密さとは雲泥の差だ。
しかしながらテーマ性は非常に良い線を行っており、今の現代社会で一部の人間が声高に叫ぶ異常なまでの安全性を社会が体現したらこういった形になったとしても何ら可笑しくない。
流石に劇中で言われている全世界9割強の人間が擬体(サロゲート)を使用するというのは無茶な話だが、金持ちや要人に限って言えば使ったとしても不思議ではない。
「サロゲートがあるから健全な社会生活が送れるという人間」と「そんな生活は麻薬と同じであり生身で居てこそ正しいという人間」の対立も確り用意されており、
そんな価値観の違いを、「どんな姿であれ本物の妻と一緒に居たいと思う夫」と「最愛の人には美しい自分を見ていて欲しいと思う妻」、両者の想いとリンクさせて描いていたのも中々良かった。
決してスカッとする快作という訳ではないしアクションも正直オマケ程度。
色々とツッコミ所も多いので内容を見誤ると盛大な肩透かしを喰らいますが、そういった点を理解した上で鑑賞すればそこそこ楽しめる作品だと私は思います。