製作: 2010年 日本
時間: 120分
原作: 矢立肇 、富野由悠季
監督: 水島精二
脚本: 黒田洋介
音楽: 川井憲次
声の出演:
宮野真守(刹那・F・セイエイ)
三木眞一郎(ロックオン・ストラトス)
吉野裕行(アレルヤ・ハプティズム)
神谷浩史(ティエリア・アーデ)
勝地涼(デカルト・シャーマン)
入野自由(沙慈・クロスロード)
中村悠一(グラハム・エーカー)
あらすじ
24世紀初頭、突如として姿を現した私設武装組織「ソレスタルビーイング」。彼らはガンダムによる戦争根絶を掲げ武力介入を開始、一時は組織壊滅の危機を迎えながらも、争いの絶えなかった世界を急変させた。
地球連邦政府の成立。その後の独立治安維持部隊アロウズの専横による戦争状態を経て、武力に頼らない社会を選択するに至った人類だったが、西暦2314年、再び危機が訪れる。130年前に廃船となっていた生体反応の無い木星探査船が地球圏に接近してきた。それは、人類の存亡をかけた戦いの始まりを告げる船だった・・・
地球連邦政府の成立。その後の独立治安維持部隊アロウズの専横による戦争状態を経て、武力に頼らない社会を選択するに至った人類だったが、西暦2314年、再び危機が訪れる。130年前に廃船となっていた生体反応の無い木星探査船が地球圏に接近してきた。それは、人類の存亡をかけた戦いの始まりを告げる船だった・・・
予告映像
感想
という訳で『劇場版 機動戦士ガンダム00』でございます。
いやぁ~なんというか色々な意味で呆気に取られましたよ…(苦笑)。
この劇場版ではTVシリーズから言われてきた「来たるべき対話」が遂に描かれる訳ですが、大方の予想通りそれは外宇宙からやってきた地球外生命体(劇中では異星体という表現)に対し刹那が脳量子波を使い共存の道を模索するという物でした。
しかし結局の所やってる事は2ndシーズンのラストで刹那がガンダムを使って行った「人と人」の相互理解を劇場版では「人と地球外生命体」に置き換えて描写したに過ぎません。
言葉が通じない異質の存在と刹那が対話し理解し合う事で、同族でありながら誤解しすれ違い争い続ける人類へのメッセージとなる訳なのですが、それはちょっと安易な答えではないかと思ってしまいます。
しかも初期の頃から何度となく言われてきたこの「来たるべき対話」のシーンが実に抽象的かつ簡略化され過ぎていて見所足り得ていないのも致命的。
(だって最後の対話シーンとかある意味スルーした様なもんですからね)
ここは本来シリーズ全体を通してのクライマックスになる筈なのに「これで終わり?」と思ってしまう程あっけなく、カタルシスなんてこれっぽっちも感じない。
もっと圧倒的なビジュアルで魅せるとか、精神世界で対話するとか、やりようはなかったのだろうか?。
展開もなんだか『ガメラ2 レギオン襲来』+『アルマゲドン』+『戦闘妖精雪風』+『トップをねらえ!』を合わせたみたいだったし、金属生命体の表現なんかは『ターミネーター2』+『トランスフォーマー』+『ゴジラVSスペースゴジラ』といった感じで新鮮味は皆無。
序盤から中盤に掛けて徐々に世界の異変を描いていく様は侵略映画の基本を踏襲していてワクワクしたのですが、後半は完全に勢いまかせといった感じ。
「起承」までは良かったけど「転結」で失敗した印象です。
見所の一つであるMSの戦闘シーンに関して言うと前半部分はメリハリが効いていてそれなりに楽しめるのですが、後半は『マクロスF ~イツワリノウタヒメ~』同様動きが速すぎる上に大混戦で何が何だか解らなくなってしまいます。
攻撃力も範囲も完全にスーパーロボットのそれであり、ビームで一掃とかミサイル連射とか一撃一撃がマップ兵器クラスになると、どれだけ派手な事をやっても印象に残らないのでもっと見せ方を工夫して欲しかった。
新キャラのデカルトも勝地くんが頑張って演じていたにも関わらず、あっと言う間に取り込まれて出番終了。
余りにも呆気ないので「きっとクライマックスでエルスの代弁者として刹那と対話するんだ!!」と予想していたのですが、本当に出て来ないもんだから驚いた。
踏んだり蹴ったりな彼の扱いに泣けた。
(正直リボンズに襲われた女の子の方が可愛くてよっぽど印象に残ってますww)。
作中、両親の思いを継ぎ地球を守って殉職するアンドレイや、死に場所を見つけトランザムで特攻するミスターブシドーグラハムなど独身男の熱い散り際が描かれる一方、コーラサワーを始めとするリア充共はみんな生き残る展開にも疑問を感じます。
守る者・帰る場所があるからって一様に戦場から生還して良いのでしょうか?。
艦やMSはボロボロなのに主要キャラは上記の2名以外死なないのでギリギリの戦闘をしているという危機感が伝わって来ない上に御都合主義が鼻に付きます。
TVシリーズであれだけ殺しておいて、ここにきて自重する意味が解りません。
別に殺したから良いと言う訳ではありませんが、戦争を描いている割にはその悲壮感が伝わって来ませんでした。
ここ以外にも要所要所で唸らせるシーンもあるのですが1期&2期同様、クライマックスが近付くと突然勇み足になり最後の最後でとっちらかってしまっていたのが非常に残念。
せっかくの完結編なのだから脚本をもっと煮詰めて削る所は確り削り大事な部分は丁寧に描いていけばもっと完成度は上がり、新たなガンダムのスタンダードに成り得たかもしれないのに本当に勿体ない。