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金曜特別ロードショーで放送された『崖の上のポニョ』を観た。

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芸能人がギャーギャー。ワーワー五月蠅いだけの前フリ番組を淡々と垂れ流しにしていた日テレの謀略に、曲がりなりにもアニメ好きの人間として乗っかってやりました。

崖の上のポニョ』はあのテーマ曲を嬉々として歌って踊る子供が観たら間違いなく楽しめる作品である。
その一方、ある種の偶像崇拝となりつつある「宮崎アニメ」という理想像を抱いている大人達はさぞ肩透かしを食らったに違いない。

本作は前評判通り正真正銘の子供向け作品であり、幼稚園児向けの絵本をそのまま映画にした様な内容は「単"調"明快」でテーマもへったくれもあったもんじゃない。
いや、そもそもそんな物は不要なのだろう。
本作の見所はアニメーションとしての動きの面白さ・気持ち良さに尽きる。
その点においては昨今CGでしか描かれなくなった「海の波」や「雨」といった手間の掛かる自然の描写も含め全て手描きでやり切ってしまったのだから本当に凄い。
しかも子供の想像をそのまま映像化した様な絵柄は、時にぶれたり歪んだりする為アニメーターはさぞ苦しめられたに違いない。
見た目は幼稚だがアニメの技法としては本当に面倒臭い事をしいるのだが、知識のない人間にとって其れがどれ程スゴイ事か伝わる事はないだろう…。

庵野さんも言ってましたが物語前半のテンポの良さはさすが宮崎監督だけの事はある。
しかしその勢いはポニョが早々に人(設定ではまだ半漁人だが…)になってしまった辺りから一気にダレた。
その後はドキドキであったりハラハラといった展開は一切無く(せいぜいポニョが気を失うくらい)、クライマックスに向けて何が盛り上がる訳でもない。
本作で一番盛り上がったのは、宗介に会う為にポニョが図らずとも津波を起こしてしまう場面位だろうか。
あのシーンはテンポとか作画とか本当に凄かった。

ある意味宮崎さんの狙い通り子供やピュアな心を持ったままの大人達は興味津津な作品に仕上がっているが、少なくとも私を含む心が廃れちまった大多数の大人やませた子供達の観賞に耐えうる作品ではない。
と言うか、そもそもこういった作品を劇場公開する事自体どうかしている。
ターゲットを考えてもNHK教育テレビで何回かに分けて放送するのが一番ベストだろう。
それなのに「宮崎駿」で「スタジオジブリ」ならばアホみたいな館数で劇場公開され最終的には興行収入155億を叩き出してしまうのだからネームバリューとは本当に恐ろしい。

子供向けでも大人の鑑賞に耐える作品として「劇場版 クレヨンしんちゃん シリーズ」があるが、『崖の上のポニョ』にそう言った物を期待するべきではなかった。
本作は「宮崎駿というお爺ちゃんが孫=子供達を単純に喜ばす為だけに作ってしまったアニメ作品」なのだと観終わった時に気付いた…。

P.S.
御多分に漏れず本作にはプロの声優が不在である。
それでもポニョと宗介を演じた子役2人の演技は堂々とした物で関心した。
だがそれに比べ大の大人達の感情無し・距離感無しの棒読み演技(演技と書く事すらおこがましく感じる)と来たら…。
声優嫌いなのは解るがこんな奴らに任せて作品の質を落とし続けるジブリの方針が今なお理解出来ない。
嫌いなら嫌いで良いが、きちんと基礎が出来ている人間をキャスティングしてくれ!!。