旧いまここにあるもの

Yahoo!ブログ時代のアーカイブ。記事内のリンクが上手く機能しなかったり、タイトルが文字化けしたり、画像のアスペクト比が可笑しいのはダメダメな移行機能の所為。新ブログはこちら→https://imakokoniarumono.hatenablog.com/

『ボーン・アルティメイタム』(2007) -★★★★☆-

イメージ 1

原題 THE BOURNE ULTIMATUM
製作 2007年 アメリ
時間 115分
監督 ポール・グリーングラス
原作 ロバート・ラドラム
音楽 ジョン・パウエル
脚本 トニー・ギルロイ スコット・Z・バーンズ ジョージ・ノルフィ
出演 マット・デイモンジェイソン・ボーン
   ジュリア・スタイルズ(ニッキー・パーソンズ
   デヴィッド・ストラザーン(ノア・ヴォーゼン)
   スコット・グレン(エズラ・クレイマー)
   ブライアン・コックス(-)
   パディ・コンシダイン(サイモン・ロス)
   クリス・クーパー(-)
   エドガー・ラミレス(パズ)
   ダニエル・ブリュール(-)
   ジョーイ・アンサー(デッシュ)
   コリン・スティントン(ニール・ダニエルズ)
   アルバート・フィニーアルバート・ハーシュ)
   ジョーン・アレン(パメラ・ランディ)

あらすじ

記憶を失くしたCIAの元エージェント、ジェイソン・ボーン
一度は組織から逃れ恋人マリーと幸せな生活を送っていたが、その時間も組織の放った殺し屋によって彼女の命と共に奪われてしまう。
やがてボーンは僅かな記憶を頼りにマリーの仇と過去の自分を取り戻すべく、自らをエージェントに仕立て上げたCIAの極秘プロジェクトの真相へと近づいて行く…。

予告映像


感想

今作の始まりはモスクワのシーンからで『スプレマシー』を観た人は「あれっ?あのシーン抜けてねぇ?」と思ったはず。
最初は前作から時間を開けた所為かと思いましたが、後半でこの抜けているシーンが上手いこと本編に組み込まれていてその構成には思わず唸ってしまいました。

ストーリーはのっけからボーンとCIAの駆け引きが手持ちカメラとカット割りを多用したドキュメンタリー風映像で描写されます。
監視カメラが溢れる街中で、それを使い情報収集するCIAと、その死角を巧みに移動するボーン。
電話の盗聴・通信の傍受・通話の解読などなど、現代の諜報戦の一端が垣間見れると共に頭脳を駆使してその裏をかくボーンの姿が痛快!!。

今作ではタンジールの町をバイクで疾走するシークエンスと民家の屋上をボーンがパルクールを使い移動する前二作では無かった新たなアクションが組み込まれていました。
パルクールはフリーランニングとも言われ、ありとあらゆる障害物を身一つで移動するエクストリームスポーツ
映画好きの人は『YAMAKASI』だったり、最近だと『007カジノロワイヤル』の冒頭などで観ていると思います。
このカメラワークがまた凄くて、予告でも使われた窓に飛び込むシーンは半端ないっす!!。

格闘シーンも前二作に負けず劣らず見事な出来栄え。
直前までジョン・パウエルの緊張感あるBGMで盛り上げ、格闘シーンではそれを止めてあえて息遣いと打撃音で潔く見せてくれる。
カメラワークも「あんな狭い場所でどう撮った?」と思う物ばかりだしアングルも次々に変わる、このシーンにかなりの時間を掛けた事が容易に想像できます。
そんなスタッフの努力の結果、シリーズで1番長く激しいものに仕上がっており個人的には大満足でした。

このシリーズの見所と言えばド派手なカーチェイスも忘れてはならない。
今回は大都市NYが舞台となっているのだが前作のモスクワと比べると時間的にもアクション的にも物足りなさを感じてしまう。
世界で最も金の掛かるロケ地と言われるNYではあれが精一杯なのだろうが、やはりもう1展開欲しかった。

そしてシリーズを締め括るであろうラストシーン。
正直、尻すぼみ感は否めない。
作品自体決してハリウッド映画的ではないので期待するだけ野暮ってものなのだが、其処は五年間待った結末。
どうしても期待してしまったのだが…。
ある意味で身の丈にあったラストだったとは思うが、此処に至るまでのハラハラドキドキ感が強すぎて失速したと感じてしまう。
時間を開けずに一気に上映すれば感想は違っていたかも…。

シリーズを総括すれば。
近年のハリウッドにしては珍しい、金を掛けて地味だが面白いシリーズを作ったと言えるだろう。
一作目はハリウッドのリアル・アクション路線の走りでもあり、作品的には新たなスパイ像を描いた。
今までは優男の印象が強かったマット・デイモンが屈強なアクション俳優という新境地を開拓した記念碑的作品でもある。
個人的にも好きなシリーズだったので終わってしまうのはとても残念、かといって無理にズルズルと続編を作ってヘタレても悲しい。
面白い作品は惜しまれてる内にキッパリと終わる事が1番。
スタッフ&キャストの方々には別の作品での新たな活躍を期待したいと思います。