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『屍者の帝国』(2015年) -★★★☆☆-

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製作: 2015年 日本
時間: 120分
監督: 牧原亮太郎 
脚本: 瀬古浩司 後藤みどり 山本幸治
音楽: 池頼広
声の出演:
    細谷佳正(ジョン・H・ワトソン)
    村瀬歩(フライデー)
    楠大典フレデリック・バーナビー)
    三木眞一郎(アレクセイ・カラマーゾフ
    山下大輝(ニコライ・クラソートキン)
    花澤香菜ハダリー・リリス
    大塚明夫(M)
    菅生隆之ザ・ワン

あらすじ

19世紀末、かつてヴィクター・フランケンシュタイン博士が生み出した、死体に新たな生命を与えて「屍者」として動かす技術が世界に広まり、いまや屍者は労働力や兵力として世界を支えていた。
親友フライデーとの約束のため、自らの手で違法に屍者化を試みたロンドン大学医学生ジョン・H・ワトソンは、その技術と野心を見込まれ、政府の諜報組織「ウォルシンガム機関」にスカウトされる。
そこで極秘任務を与えられたワトソンは、フランケンシュタイン博士が残した、生者のように意思を持ち言葉を話す屍者=ザ・ワンを生み出す技術が記された「ヴィクターの手記」を求めて旅に出る。

予告映像

感想

将来を嘱望されながら2009年に若くしてこの世を去った伊藤計劃さんの小説をノイタミナのプロデュースチームが映像化した「Project Itoh」の一篇『屍者の帝国』が紆余曲折の末に完成した『虐殺器官』の公開に合わせて地上波放送されたので録画鑑賞。

禁忌とされた「屍者の蘇生」が兵士や労働力を賄う技術として広く普及し市民権を得た19世紀末のロンドンを舞台に、死んだ親友との再会を切望しその肉体を蘇生し魂を取り戻す秘術を探し求める主人公が人類の存亡を掛けた巨大な陰謀に巻き込まれていきます。

タイトルからしてダークな物語と『メトロポリス』的な救いの無い結末を想像していたのですが、蓋を開けてみれば思いのほか娯楽色の強い内容になっていて良い意味で予想を裏切られました。
ロードムービーから徐々に世界を救う冒険活劇へシフトするストーリーもさる事ながら、蘇生された屍者が生者の代わりに戦地に送られ人間の奴隷として従事する姿はロボットを題材にした近未来SFを観ているようで興味深い。

ワトソンとフライデーの関係がホモホモしかったり、名前からしてネタバレなハダリーや彼女が用意した強襲艇の浮きっぷり、そしてあの状況から「みんな生きてました!」とハッピーエンドに持って行くご都合主義すぎるラストなど作品のテーマ性を考えると引っ掛かる部分も散見するのですが、そういった点に目を瞑れば劇場作品として申し分ない映像クオリティで最後まで退屈する事なく楽しむことが出来ました。