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『ゴジラVSビオランテ』(1989年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

製作: 1989 日本
時間: 105分
原案: 小林晋一郎
監督: 大森一樹
脚本: 大森一樹
音楽: すぎやまこういち
出演: 三田村邦彦(桐島一人)
    田中好子(大河内明日香)
    高橋幸治(白神源壱郎)
    金田龍之介(大河内誠剛)
    高嶋政伸(黒木翔)
    峰岸徹(権藤吾郎)
    小高恵美(三枝未希)
    沢口靖子(白神英理加)
    久我美子(大和田圭子) 
    永島敏行(山本精一)
    マンジョット・ベディ(SSS9)
 

予告映像

感想

という訳で『ゴジラVSビオランテ』です。
近所のツタヤに置いてなくて観たくても観れない状態が続いていたですが、先日BSで放送されたのをHDDレコーダーが律義に録画しておいてくれて10年以上ぶりの再観賞と相成りました。
 
1989年公開と、かれこれ25年以上前の作品ですが良いですねぇ~。
細かな部分をツッコミ出したらきりがないのですが驚異の生命力を誇る「ゴジラ細胞」を巡る米国・中東・日本の駆け引き、遺伝子操作によって誕生した植獣ビオランテ自衛隊VSゴジラの攻防と改めて観るとかなり大人向けな内容でビックリ。
 
ゴジラの活動に対して4段階で警戒体制を設けたり、自衛隊が首都東京を守る為どこでゴジラを迎え撃つか戦略を練る描写など、後のシリーズで蔑ろにされてしまったリアリティがあります。
最も、このリアル路線が地味すぎて興行的に失敗したのは事実であり、敵対怪獣のビオランテにしても設定やデザインは魅力的ながら出番が少なくイマイチ盛り上がらない。
これがもし「平成ガメラシリーズ」並のバランスで完成していれば後のVSシリーズの流れも変わっていたかもしれません。
 
「原爆とゴジラに酷い目に遭わされた日本だからゴジラ細胞を独占し核を超える兵器を作っても罰は当たらない」といった趣旨の過激な発言が飛び出したり、米国の企業体がその事を危惧して工作員を送り込んでくるなど、ヘタレきった昨今の日本映画界では絶対に作れない踏み込んだ表現のオンパレード。
これには批判もあるでしょうが、そもそもゴジラ映画には社会風刺の一面があるのだから、こういった要素はむしろ取り入れていくべきではないか?。
 
自衛隊の移動が間に合わない事を理由に大阪を見捨て「私の仕事は敵に勝つか負けるかです」と発言する黒木特佐や、軽口を叩きながら決める時は決める権藤一佐の勇姿など、キャラクターも大変魅力的。
メーサータンクはご愛敬ですが、無人航空機の「スーパーX2」は今見ると時代を先取っていたように思います。
 
特撮シーンも三原山から姿を現すゴジラや、今は無き東宝の大プールを駆使した海上シーン。
山のようなビオランテが突進してくるクライマックスなど名場面が満載。
主人公たちが見守る部屋のガラスにゴジラビオランテの姿が写り込んでいたり、権藤一佐の背後からゴジラが迫りくる場面など実写と特撮の合成カットも25年という時の流れを感じさせない見事な説得力がありました。