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『のぼうの城』(2011年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

製作: 2011年 日本
時間: 145分
原作: 和田竜
監督: 犬童一心樋口真嗣  
脚本: 和田竜
音楽: 上野耕路   
出演: 野村萬斎(成田長親)
    榮倉奈々甲斐姫
    成宮寛貴(酒巻靭負)
    山口智充(柴崎和泉守)
    上地雄輔石田三成
    山田孝之大谷吉継
    平岳大長束正家
    前田吟(たへえ)
    中尾明慶(かぞう)
    尾野真千子(ちよ)
    芦田愛菜(ちどり)
    西村雅彦(成田氏長)
    中原丈雄北条氏政
    鈴木保奈美(珠)
    平泉成(成田泰季)
    夏八木勲(和尚)
    市村正親豊臣秀吉
    佐藤浩市(正木丹波守利英)

あらすじ

天下統一を目指す豊臣秀吉は関東の雄・北条家に大軍を投じるも、その中には最後まで落ちなかった武州忍城(おしじょう)と呼ばれる支城があった。その城には領民からでくのぼうをやゆした“のぼう様”と呼ばれ、誰も及ばぬ人気で人心を掌握する成田長親(野村萬斎)という城代がいた。秀吉は20,000の軍勢で攻撃を開始するが、将に求められる智も仁も勇もない、文字通りのでくのぼうのような男の長親は、その40分の1の軍勢で迎え討とうとする。

予告映像

感想

2011年秋に公開が予定されていたものの東日本大震災が発生し公開が1年以上延期してしまった不遇な作品『のぼうの城』が地上波初ON AIRされたので観る。
 
評判が良く前々からレンタルしようと思っていたので丁度良かったのだが、本編145分に対し放送時間は144分。
劇場公開時もオリジナル版からリアル過ぎるという理由で「水攻め」シーンがカットされたが、今回の放送はそこに更なる編集が加わっているようだ。
ここは樋口真嗣さん渾身のスペクタクル映像であり、本作の見所であっただけに残念でならない。
トラウマを抱えた人が多いのも事実だが、史実を描きながら制作時期によって内容が改変されてしまうというのはやはり悲しい。
 
さて肝心の物語ですが2万の軍勢と500の兵で渡り合った忍城の戦いを描いた日本版『300 スリーハンドレット』といった感じ。
古今東西こういった逆転劇というのは心躍る。
 
のぼうの愛称で親しまれる成田長親と個性派揃いの家臣とのコントっぽい会話があったかと思えば、合戦シーンになると急にリアル路線になるから驚かさせる。
プライベート・ライアン』に肉薄すると言ったら言い過ぎかもしれないが、生温いなんちゃって戦争映画と違い血や首が普通に飛んでそれを誤魔化そうとしない姿勢が素晴らしい。
 
次から次に襲い来る窮地を奇策で乗り切り、自軍だけでなく敵の心まで掴んでしまうのぼうのカリスマ性。
転んでもただでは起きないしたたかさを含めこの男かなりの食わせ者であるが、同時に自身の胸の内を他人に明かそうとせず感情も表に出さない孤独な一面も垣間見える。
 
終始野村萬斎さんの独壇場でありますが、意外にもぐっさん(山口智充さん)がワイルドな存在感を放っており印象に残ります。
逆に佐藤浩市さんや成宮くんなんかはキャラクターが何時も通りすぎて…(苦笑)。
 
本作は犬童一心さんと樋口真嗣さんのダブル監督となっていますが、やはり樋口さんは単独でやるよりもこういった布陣の方が向いてるみたいですね。
今からでも遅くないので『実写版 進撃の巨人』にもドラマパートの監督を追加してくれないだろうか?。