カルト的な人気を誇る『ケイゾク』と同一世界で展開する国家権力と能力者の戦いを描いた『SPEC』の劇場版(天)をようやく観賞。
TVシリーズ(起)はなかなか楽しめたのですが、その後のTVスペシャル(翔)で炸裂した堤幸彦の何時もの悪ふざけに落胆し、更に「起承転結」という副題の流れからしてコレで完結しない事は目に見えていたので先延ばしにしておりました。
案の定、完結編となる「結」と前日譚となる「零」の制作が発表されたのですが、
「どうせ公開に合わせてテレビでやるだろうけど観といてやっか」
と、当麻ばりに悪態をつきながらレンタルで観てやりました。
冒頭からスターウォーズばりに「ファティマ第三の予言」の概要を文字流して説明し、意味深な砂浜で佇む少女(雅)が野々村係長からの手紙を読んでいる場面から映画はスタート。
本編は約2時間あるのだが要点をピックアップすればニノマエがSPECホルダー軍団を結成し、当麻・瀬文・津田(オリジナル)の連合軍がそれを倒すというだけの話。
TVシリーズの頃からそういうヘンテコさも作品の醍醐味ではあったのだが、真面目でシリアスなシーンに唐突に何の脈絡もなく挿入してくるから本当にたちが悪い。
例えるなら「子供がカメラを向けられると照れておちゃらける」あの感じにそっくりだ。
ああいった要素はアクセントに止めておくべきであり、『ケイゾク』も『IWGP』も『トリック』も『SPEC(起)』もその点は守っていたからこそ傑作たりえたのに堤幸彦本人がそれを理解していないのだから可笑しな話だ。
正真正銘本物?の津田が登場し(これまた呆気なく死んだが)今までの津田シリーズに一応のピリオドを打ったり、あのニノマエが実はクローンで時間を止めて肉体を無理矢理成長させていたなど、TVシリーズからの謎に答えを提示した箇所もあったのだが、全体通して見ると「それだけ?」という印象がぬぐえない。
結局は完結編への繋ぎでしかなかった。
完全シークレットで出演した向井理くんが黒ずくめのニノマエと対照的な白い衣装を身に纏った謎の人物セカイとして登場したり、エンディングで『猿の惑星』よろしく朽ち果てた国会議事堂が映し出されるなど、更に大風呂敷を広げに掛かっており心配で仕方ない。
コメディ要素を入れるのも良いが、締める所はきっちり締める。
完結編に私が望むのはそれだけです…。