旧いまここにあるもの

Yahoo!ブログ時代のアーカイブ。記事内のリンクが上手く機能しなかったり、タイトルが文字化けしたり、画像のアスペクト比が可笑しいのはダメダメな移行機能の所為。新ブログはこちら→https://imakokoniarumono.hatenablog.com/

『トロール・ハンター』(2010年) -★★★★☆-

イメージ 1

スタッフ&キャスト

原題: TROLLJEGEREN/TROLLHUNTER
製作: 2010年 ノルウェー
時間: 103分
監督: アンドレ・ウーヴレダル 
脚本: アンドレ・ウーヴレダル 
音楽: 
出演: オットー・イェスパーセン(ハンス/トロール・ハンター)
    グレン・エルランド・トスタード(トマス)
    ヨハンナ・モールク(ヨハンナ)
    トマス・アルフ・ラーセン(カッレ)
    ハンス・モーテン・ハンセン(フィン・ハウガン)
    トルン・ルーデメル・ストッケラン(ヒルデ)
    ウルミラ・ベルク=ドマース(マリカ)
    イェンス・ストルテンベルグ(ストルテンベルグ首相)
    ロベルト・ストルテンベルグ(クマ調達人)
    クヌート・ナールム(送電担当者)

あらすじ

ノルウェーの田舎町で問題になっている熊の密猟事件を取材しにやってきた大学生3人組。
彼らは狩猟許可書を持たない怪しい男・ハンス(オットー・イェスパーセン)が犯人だと考え後をつけるのだが、そこで巨大な生物と遭遇する。
ハンスの話によるとあれは伝説上の生き物トロールで、彼は政府に雇われ人間のテリトリーに侵入したトロールを駆除するハンターだった。
3人はハンスと共に行動しトロールの衝撃的な生態を記録して行くのだが…。

予告映像

感想

ノルウェーという馴染みの薄い国からやって来たモキュメンタリー映画トロール・ハンター
「モシュメンタリー」とは『ブレアウィッチプロジェクト』クローバーフィールドパラノーマル・アクティビティなどに用いられたフィクションをあたかも現実のドキュメンタリーの様に見せる表現手法でございます。
イデア1つで勝負出来るこの「モシュメンタリー」を使い、自国に古くから伝わる伝承上の存在「トロール」を題材に描いた意欲作。
 
いやはやこれは面白い。
内容的にはタイトル以上でも以下でもないのだけれど、とにかくその「作り込み」が素晴らしい。
作り込みと言ってもトランスフォーマーみたいな実写にしか見えないVFXとかそういった類いの物ではなく、トロールの生態や行動習性など細かな設定がである。
フィクションをリアルに見せる為の基本は違和感のない範囲の「嘘」を積み重ね、それによって大きな「嘘」にも説得力を持たせる事だと私は考えています。
こういった架空の生き物を現実の延長線で描く場合はこの「嘘のつき方」が重要になって来る訳ですが、そういった意味でこの作品はとても上手く、スッと世界観に入り込む事が出来ました。
 
取り分けトロール・ハンターの仕事っぷりや獲物の追跡方法などは十分過ぎる程の説得力があり、岩の配置を記録したり好物のタイヤを仕掛けて行動範囲を把握するなどハンターとして実に自然な立ち振舞い。
流石に『ワンダと巨像』に出てくる巨像の様な60メートル級トロール「んなアホな!!」と思いましたが、送電線が実は檻の役割を果たしていたりと、よくもまぁ考えたもんだと最後まで関心させられました。
主題ではないがバックに映る北欧の風景もまた美しく魅力的だった。
 
「映像がリアルならそれで良い」と考えている近年のハリウッド映画はこうした作風を大いに見習うべきです。
この作品どういう訳かハリウッドリメイクが決まっているそうですが「ご当地ネタ」であるこの題材を描き直す必要があるのか甚だ疑問です。