旧いまここにあるもの

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録画しておいた『ゴールデンスランバー』を観た。

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10月の頭に「土曜プレミアム」で放送された物を今更観賞。
前々から観たいと思っていた作品だったのですが、日本の娯楽映画にしては珍しくキチッとした作りでとても楽しめました。
星を付けるとすれば「★★★★☆」これくらいあげても良いです。
 
国のトップを暗殺した濡れ衣を着せられた主人公の逃亡劇というのはアメリカ映画じゃ「またかよ!!」ってなるけど邦画だと非常に斬新。
全編に渡り陰謀説が囁かれるジョン・F・ケネディ暗殺事件を意識した作りとなっており、権力の犬に成り下がったマスゴミの腐った体質や加害者家族の迫害などの問題点も遠回しに批判してるのが面白い。
 
うだつの上がらないキャラクターを演じさせたら右に出る者がいない堺雅人さんがリー・ハーヴェイ・オズワルドよろしく暗殺犯に仕立て上げられ仙台の街を逃げまくり。
地元の全面協力を得て撮影したオールロケな映像は邦画らしからぬ迫力に満ちている。
 
切迫した状況とは裏腹に展開するシュールな会話やコントのような間の取り方。
ターミネーターみたいなエージェントや妙に協力的な殺人鬼など、一癖も二癖もある登場人物や演出はリアリティと無縁で好き嫌いが分かれる所でしょうが、ハリウッドと同じ土俵で戦っても仕方ないのでこういうアプローチはむしろ正しかったと思います。
 
信じる事が唯一の武器という人が良過ぎる主人公が逃走する中、自身の過去と向き合い幼馴染や初めて出会った人々に助けられながら一矢報いようとするクライマックスはとにかく痛快。
 
「無様な姿さらしても良いから、とにかく逃げて、生きろ」
 
という純くん…じゃなくて吉岡秀隆くんが残したメッセージが集約されるラストシーンは容疑が晴れ無罪になった訳じゃないんだけど不思議と爽やかな余韻が残ります。
 
生きる事の大切さや人と人の繋がりといった、ともすれば青臭く感じられるテーマを、サスペンスという要素で中和しエンターテイメントに昇華したのは御見事。
下らないTVドラマのやっつけ映画なんかより、こういった作品が量産される事を一映画ファンとして切に願います。