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金曜ロードショーにて『もののけ姫』を観賞

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もののけ姫』は私が唯一劇場で観た宮崎アニメであり、数あるジブリ作品の中でも一番好きな作品です。
単純に起承転結が確りしていて一本の映画として見応えがありますし、登場人物も敵見方関係無く非常に魅力的。
セルアニメーション後期の作品として最上級のクオリティであり、人物描写の細かさには舌を巻くばかりです。
そして忘れられないのはシシ神の森などの背景美術は見惚れる程に美しい…。

宮崎監督は今まで要点は押さえつつも安心して観れる娯楽性の高い作品を作って来ましたが『もののけ姫』では一転して泥臭くて生々しい凄惨な描写も含んだメッセージ性の強い作品に仕上げました。
私としては「生」と「死」は共に描いてこそ意味があると思うので、その点本作の描写には非常に感銘を受け、それ故に好きな作品になっています。

クライマックスになるにつれ「人」「自然」「神」の均衡が崩れ訪れる破滅の時。
現代の物質文明や自然環境を顧みず生存圏を拡大し続ける人類へのアンチテーゼを含みつつ、それを乗り越え「共に生きる道」を模索する人々の姿によって締めくくられるラストシーン。
だが過ぎ去り失われた日本の在りし日の姿である『もののけ姫』の世界は、その希望あるラストですら叶う事が無かったのだと間接的に読み取る事が出来てしまい、えも言われぬ余韻を残します…。

本作以降、宮崎監督は寓話的な方向にシフトしてしまい私はそういった作品に物足りなさを感じているので、今一度『もののけ姫』の様なリアルで大人向けなエンターテイメント作品を作ってくれないかと密かに期待しております。
恐らく『ポニョ』で完全お子様向け作品を作ってしまったので次あたりその反動が来るんじゃないかな~と予想しているのですが…。