旧いまここにあるもの

Yahoo!ブログ時代のアーカイブ。記事内のリンクが上手く機能しなかったり、タイトルが文字化けしたり、画像のアスペクト比が可笑しいのはダメダメな移行機能の所為。新ブログはこちら→https://imakokoniarumono.hatenablog.com/

2016年夏公開予定の『東宝版ゴジラ』の総監督が庵野秀明さん…だと…?

イメージ 1
 
本日、制作が発表されていた「新生東宝ゴジラ」の総監督・脚本を庵野秀明さんが手掛けるという衝撃的なニュースが飛び込んで参りました。
てっきりエイプリルフールネタかと思ったらマジですやん(汗)。
 
ギャレス・エドワーズ版の世界的メガヒットに便乗する形で復活させるのかと思いきや、その成否が定かではない2013年はじめには既に庵野さんの下にオファーが行っていた模様。
恐らく庵野さん自身が熱心な特撮ファンであり『巨神兵、東京に現る』や「特撮博物館」といった企画を成功させた実績を踏まえた上での人選と思われます。
 
今回の発表を受け、予想通りネット上では「早くシン・エヴァを作れ!!」というヤジが飛び交っていますが、そういった批判を覚悟の上で総監督の依頼を引き受けた模様。
以下、庵野さんのコメントを転載。
 
我々は、何を作ろうとしているのか。
そして何故、空想特撮映画を作る事を決めたのか。
2012年12月。エヴァ:Qの公開後、僕は壊れました。所謂、鬱状態となりました。6年間、自分の魂を削って再びエヴァを作っていた事への、当然の報いでした。明けた2013年。その一年間は精神的な負の波が何度も揺れ戻してくる年でした。自分が代表を務め、自分が作品を背負っているスタジオにただの1度も近づく事が出来ませんでした。2014年初頭。ようやくスタジオに戻る事が出来ました。それから、1年以上かけた心のリハビリにより徐々にアニメの仕事に戻っています。
そして、2015年。旧エヴァの放送から20年後の今、すでに2年以上もお待たせしている、シン・エヴァンゲリオン劇場版の完成への実現に向けた作業も、なんとか進められています。
僕の周囲の方々、そしてアニメファンの皆様が、再び完結に向かうというモチベーションを支えてくれているからです。本当に、感謝します。
と、同時に今は、空想特撮映画を形にする作業も行っています。始まりは、2013年1月末でした。
東宝の方から直接「ゴジラの新作映画の監督をお願いしたい」と、依頼を受けました。
精神的にも不安定でしたし、「無理です。エヴァもあるし、出来ませんよ」と、その場は固辞しました。
が、東宝の誠意と盟友樋口真嗣監督の熱意に心が動かされ、同年3月、監督を引き受ける事にしました。
過去の継続等だけでなく空想科学映像再生の祈り、特撮博物館に込めた願い、思想を具現化してこそ先達の制作者や過去作品への恩返しであり、その意思と責任の完結である、という想いに至り、引き受ける事にしました。
今しか出来ない、今だから出来る、新たな、一度きりの挑戦と思い、引き受ける事にしました。
エヴァではない、新たな作品を自分に取り入れないと先に続かない状態を実感し、引き受ける事にしました。
同年5月、作品として描きたい、描くべき主題を決めました。
そして同年6月、G作品メモという企画書を東宝に提出、プロット等の作成を開始。
ゴジラが存在する空想科学の世界は、夢や願望だけでなく現実のカリカチュア、風刺や鏡像でもあります。現在の日本でそれを描くという無謀な試みでもあります。
正直、世界資本に比べると制作費も制作時間も極端に少ない日本の現場で、様々な内容面に関する制約の中で、果たしてどこまで描けるのかはわかりません。
ただ、映画としてのプライドを持ち、少しでも面白い映像作品となる様に、本作もシン・エヴァも全力で作っていく事が、今の僕に出来る事だと思って作業を進め、映画の方向性や脚本内容等で紆余曲折あり、現在に至っています。制作者が何を書いても言い訳にしか過ぎず、善意と悪意の前に晒される事態を重々承知の上で、こんな時代のこの国で日本を代表する空想特撮作品を背負って作る、という事を少しでも理解していただけたらという願いから、拙文を寄せています。
最後に、自分を支えてくれる周囲の人々と、作品を支えてくれているファン・観客の皆様の御蔭で再び、映像が作れる、という事に改めて感謝します。ありがとうございます。
 
お決まりの語り出しから始まるコメントですが、内容は『ゴジラ』と共に『シン・エヴァ』の制作についても言及されています。
衝撃的だったのは『ヱヴァ:Q』の後に「壊れた=鬱状態になった」という部分で、『旧世紀版』に比べ『新劇場版』は少なくとも『破』までは観客に好意的に受け入れられ、安定した精神状態で制作している物と思っていたので本当に驚きました。
 
文章から察するに『Q』に対する賛否というよりは、エヴァという作品を作る過酷さが原因のようですが、その後1年以上アニメ制作から距離を取っていたそうで、未だに『ヱヴァ:Q 全記録全集』が発売されない事にも合点が行きました。
 
今現在は『シン・エヴァ』の制作に戻っているそうですが「なんとか進められています。」とかなり消極的な表現を使っている上、『ゴジラ』の総監督と同時進行しなければ行けないので順調に制作が進んだとしても公開は2年以上先になると考えた方が良さそうですね…(苦笑)。
 
肝心の『ゴジラ』についてですが具体的な内容には言及されていませんがハリウッド版に比べ製作費や準備期間など制約が多く、脚本も改定が繰り返されているとの事。
ともすれば「予防線」とも取れる後ろ向きな文章が並んでいるのですが(汗)、そこは1特撮ファンである庵野さんが書くシナリオですから期待せずにはいられません。
ゴジラVSビオランテ』の小林晋一郎さんや『平成ガメラシリーズ』の伊藤和典さんなど、好きな人が書いた脚本がつまらないわけありません!!。
 
そんな庵野さんを支えるのは今夏『実写版 進撃の巨人』の公開が控える盟友・樋口真嗣さん。
今回は監督と特技監督を兼任するそうですが、ミレニアムシリーズのカルト作『GMK』の金子修介監督に続いて『平成ガメラシリーズ』の主要メンバーが『ゴジラ』を作るなんて胸熱!!。
しかもコメントで
「来年、最高で最悪の悪夢を皆様にお届けします」
「怖いゴジラに原点回帰する事を示唆しており、その身長はギャレス・エドワーズ版の108メートルを凌駕する過去最大の高さになるのだとか?。
 
平成ガメラシリーズ』はあのクオリティで一本当たりの製作費が約5億円と信じられないほど低予算でしたが、あの路線でゴジラを描いてくれれば私は文句ありません!!。
今秋にクランクイン・2016年夏公開予定との事ですが、先の震災や原発事故を踏まえた上で全人類に警鐘を鳴らすゴジラに期待すると共に、これを機に「特撮」というジャンルが観直され、同じく新作が予定されている『ガメラ』へとブームが繋がっていく事を切に願います。