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原作:うえお久光 作画:綱島志朗 『紫色のクオリア.1』 (電撃コミックス)

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毬井ゆかりは、
ニンゲンがロボットに見える
それは変えることのできない彼女の
絶対条件――


ライトノベル作家うえお久光さんと、マンガ家・綱島志朗さんのコラボレーション企画によって生まれ、その洗練された内容によって普段ライトノベルを読まない硬派なSFファンや批評家から絶賛された『紫色のクオリア』が原作小説で挿絵を担当していた綱島志朗さん自身の手でコミカライズ。
 
いやぁ~最近『JINKIシリーズ』「あざとい作品」になってしまっていたので、久しぶりに綺麗な綱島作品を見た気がします。
だって美少女の裸なしですよ?。
これがオリジナル作品だったら間違いなく暴走していたでしょうが、うえお久光さんの書いた原作がありますからちゃんとストーリーマンガしていて感動しました。
 
さて作品のタイトルになっている「クオリア」というのはズバリ人が対象をどう認識しているかって事。
詳しくはwikipediaかなんかを読んで頂くとして、本作は自分以外の人間がロボットに見えてしまう少女・毬井ゆかりの物語。
 
例えば私が認識している「赤」という色が、今この記事を読んでいる人が感じている「赤」と全く同じ物かどうか確認する術はない。
「林檎の色」「ポストの色」「消防車の色」「夕陽の色」
それが「赤」だと説明しても、その「赤」の認識自体が個人で違っていれば全くもって意味を成さないからだ。
 
その違いを極端にしたのがこの巻に収録されている「毬井についてのエトセトラ」なのだが、これが本当に面白い!!。
毬井が単に「人間がロボットに見えている」だけならちょっと変わった(電波な?)女の子が主役の作品だが、彼女の言葉が嘘ではない事が解る衝撃の展開が終盤に待ち受けている。
 
ともすれば荒唐無稽に映るかもしれないが、伏線が確りしているので私は違和感を感じる事もなく最後まですんなり読む事が出来た。
連続猟奇殺人事件というサスペンス要素を交えつつ、毬井ゆかりと衝撃的な出会いを果たすスポーツ少女・波濤学の友情を通し、人の認識の曖昧さや価値観の違いなどが上手い事表現されていると思う。
個人的には、こういう作品こそ実写で観てみたい。
 
プラモ作りが趣味のヒロインって所に綱島さん的な要素を感じつつ、無茶苦茶評価の高いもう1つのエピソード「1/1,000,000,000のキス」のコミカライズが今から楽しみです!!。