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『ゴースト・イン・ザ・シェル』(2017年) -★★☆☆☆-

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スタッフ&キャスト

時間: 107分
製作: 2017年 アメリ
原作: 士郎正宗
脚本 ジェイミー・モス ウィリアム・ウィーラー アーレン・クルーガー
音楽: クリント・マンセル ローン・バルフェ
    ピルウ・アスベック(バトー)
    ビートたけし(荒巻)
    ジュリエット・ビノシュ(オウレイ博士)
    マイケル・カルメン・ピット(クゼ)
    チン・ハン(トグサ)
    ダヌシア・サマル(ラドリヤ)
    ラザルス・ラトゥーエル(イシカワ)
    泉原豊(サイトー)
    タワンダ・マニモ(ボーマ)
    ピーター・フェルディナンド(カッター)
    アナマリア・マリンカ(ダーリン)

あらすじ

 
高度に情報化された近未来。
少佐(スカーレット・ヨハンソン)は凄惨な事故に遭い、脳以外は全て義体となって、死の淵から蘇りサイバーテロ阻止に欠かせない最強の戦士となった。
少佐が指揮する公安9課は、巨大企業に対するサイバーテロの捜査に乗り出すが、犯人と目されるクゼを追う中で次第に少佐の出生にまつわる秘密が明らかになっていく…。

予告映像

感想

言わずと知れた士郎正宗さん原作のSFコミック。というよりPRODUCTION I.Gが制作した一連のアニメ版を基にハリウッドがリメイクした『ゴースト・イン・ザ・シェル』をオリジナルキャストを招集した吹き替え版で鑑賞。

向こうでは「ホワイトウォッシュだ」などと流行りの人種問題にかこつけたネガティブキャンペーンで大コケしたが、テメェ等のちっぽけな自尊心を満たす為にさも日本人が怒ってる風に事実を歪曲している事の方がよっぽど問題だし腹立たしい。
私に言わせれば文化盗用の最たるものである『スピードレーサー』や『ニンジャアサシン』のキャスティングと改変こそ批判されるべきなのに、所詮奴等にはアジア人の顔の違いなど判別できないし、白人じゃなければ誰でもいいと思ってるに違いない。
そんな人間がアレコレ文句を垂れているのだから滑稽である。

そもそも義体化によって人と機械の境界が曖昧になった世界において肌の色など何の意味もなく、リュック・ベッソンの『ルーシー』からし草薙素子っぽかったスカーレット・ヨハンソンが少佐を演じても何の違和感もなければ、何故彼女が素子なのかという理由もきちんと物語の中で説明されるのだから観てから文句を言えと言いたい。

とにかくこの作品、どっかの『デスノート』と違い原作リスペクト(この場合は前記の通りアニメ版を指す)が半端なく、バセットハウンドを登場させるだけならまだしもその名前がガブリエルというのだから本当に恐れいる。
エンディングも川井憲次さんのあの曲でファンであればニヤリとさせられること請け合い。

ただ、それが作品の完成度に繋がっているかと聞かれればそんな事はなく、押井守監督の『攻殻機動隊』『イノセンス』から、神山健治監督の『S.A.C』『2nd GIG』、果ては近々の黄瀬和哉監督の『ARISE』まで、イメージソースを継ぎ接ぎした映像はオリジナリティに欠け、ハイライトである多脚戦車のシークエンスも20年以上前の手描きアニメーションに重量感や迫力で完敗していて残念極まりない。
時代錯誤な日本要素も邪魔臭く、こんな事なら潔く押井版のような香港ベースの無国籍な街にすれば良かったし、「ファッキンジャップくらい分かるよバカヤロー」と言い出しそうなビートたけし演じる鉄拳の三島平八をよぼよぼにしたようなヤクザの親分は断じて荒巻ではない!!。

本質的には主人公の自分探しの物語であり、ここをもっと丁寧に掘り下げ、適材適所アニメの要素を配すれば傑作になっていたかもしれないのに、本作のスタッフは取捨選択が下手な上、欲張り過ぎな印象が拭えない。
原作を愛している事は痛いほど伝わってくるのであまり悪く言いたくないが、これならマトリックス』の方が"らしい"仕上がりだった。