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『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015年) -★★★☆☆-

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スタッフ&キャスト

製作: 2015年 日本
時間: 98分
原作: 諌山創 
監督: 樋口真嗣  
脚本: 渡辺雄介 町山智浩
音楽: 鷺巣詩郎   
出演: 三浦春馬(エレン)
    長谷川博己(シキシマ)
    水原希子(ミカサ)
    本郷奏多(アルミン)
    三浦貴大(ジャン)
    桜庭ななみ(サシャ)
    松尾諭(サンナギ)
    渡部秀(フクシ)
    水崎綾女(ヒアナ)
    武田梨奈(リル)
    石原さとみ(ハンジ)
    ピエール瀧(ソウダ)
    國村隼(クバル)
 

あらすじ

100年以上前、突如現れた巨人たちに人類の大半が捕食され、文明は崩壊。生き延びた人々は巨大な壁を三重に築き、その中で暮らしていた。壁に守られた安寧とした生活に苛立ちを覚えるエレンは、まだ見ぬ外の世界を夢見ていたが、ある時、そんなエレンの目の前に人類の想定を超える超大型巨人が出現。壁の一部を破壊し、そこから巨人たちが町になだれ込んでくる。次々と巨人が人間を食らう地獄をからくも生き延びたエレンは、2年後、対巨人兵器の立体機動装置武装した調査兵団の一員になっていた。調査兵団は壊された壁の修復作戦を決行するが……
 

予告映像

感想

来たる『シン・ゴジラ』への前哨戦?として散々な評価を受けた『実写版 進撃の巨人』を観る。
酷評に次ぐ酷評でどんな酷い物かと別の意味で期待していたのだが、予想以上に健闘しておりどうしてあそこまで叩かれるのか私は不思議で仕方ない。
 
確かに日本人キャストで映画を成立させる為の設定の改変。
日本語にそぐわない「ヴ」の発音が含まれるからという理由でリヴァイを外すなど「気を遣うとこそこかよ!!」と言いたくなるポイントも多々あるのだが、全体としてはあの原作をよくぞここまで映像化したものだと感心させられた。
 
その最たる部分は何といっても巨人による人間の捕食シーン。
これに関しては「マンガ」や「アニメ」の表現より数段エグく、よくPG-12指定で済んだものだと驚かされる。
「12歳未満は保護者同伴なら視聴可」って、こんなん子供が見たら間違いなくトラウマになるわ(苦笑)。
プライベート・ライアン』や『ブラックホーク・ダウン』さながらに肉片が飛び散る凄惨な戦場を含め、この規模の作品でそれを誤魔化さず描いたスタッフのチャレンジ精神だけでも私は称賛されるべきだと思う。
もしこれがハリウッドならレーティングを下げ、より多くの観客から収入を得る為にガリガリ削ったに違いない。

加えて生理的な嫌悪感を抱かせる巨人の表現も素晴らしく、この辺りは原作の意図するところをもの凄く上手く汲み取っているように感じる。
ビジュアルから動きまで見ていて本当に気持ち悪く、これが生きた人間をむさぼり食うんだから下手なスプラッター映画より恐ろしい。
 
その一方で主要キャストの演技は青臭さが拭えず、興醒めな部分が多いのも事実。
ハンジ役の石原さとみ嬢だけが原作通り極まっているのだが、長谷川博己さんなんかは今にも「チャオ」とか言い出しそうで別作品のキャラがチラついて仕方がなかった。

特撮に関しては監督の本業だけあって安定感があるものの、立体機動装置の描写は人物がアップになった時に移動方向と髪が靡く向き・強弱が一致していないのが悔やまれる。
このアクションシークエンスは作品の見所の一つなのだから、そこはもっと拘って欲しかった。
 
ストーリーは舞台設定が見るからに文明崩壊後の世界になった事、そしてエレンとミカサの関係性が大きく変更された点を除けば、概ね原作に沿った形で展開し最後に「エレンゲリオン」が大暴れしたところで前編は終了。
エレンとミカサの変化は原作基準で考えると驚きだが、ロマンスの要素を加える為であればこの改変もそれなりに納得できる。
(まぁミカサ×エレン至上主義者は発狂物だと思うが…)
 
とにかく言うほど悪くなく、むしろよくやったと感じた『実写版 進撃の巨人』。
後編はよりオリジナル要素が強まるでしょうが、どのような結末に持っていくのか気になるので、そちらも追々チェックしたいと思います。