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『キングダム-見えざる敵-』(2007年) -★★★★☆-

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スタッフ&キャスト

原題 THE KINGDOM
製作 2007年
時間 110分
監督 ピーター・バーグ
音楽 ダニー・エルフマン
脚本 マシュー・マイケル・カーナハン
出演 ジェイミー・フォックス(ロナルド・フルーリークリス・クーパー(グラント・サイクス) ジェニファー・ガーナー(ジャネット・メイズ) ジェイソン・ベイトマン(アダム・レビット) アシュラフ・バルフム(アル・ガージー大佐) アリ・スリマン(ハイサム軍曹) ジェレミー・ピヴェン(デーモン・シュミット米大使館首席公使) ダニー・ヒューストン(ギデオン・ヤング司法長官) リチャード・ジェンキンス(ロバート・グレイスFBI長官) カイル・チャンドラー(フラン) フランシス・フィッシャー(エレイン)

あらすじ

サウジアラビアの外国人居住区で起きた連続テロ。数百人の死傷者を出したこの事件にFBIも捜査に動き出す。
だが外交上の問題から正式な手続きでは捜査員を現地には送れないとの判断が下る。
この事件で友人を失ったFBI捜査官のフルーリーは諦め切れず、人脈を駆使し在米サウジ大使に掛け合い、自分を含む4人の捜査官を5日間だけ派遣出来るよう約束を取り付ける。
しかし、現地に到着した彼等を待っていたのは行動を制限し捜査に消極的な地元警察との確執だった…。

感想

マイケル・マンがプロデュースを務めた硬派なテーマとアクション性を両立した対テロ戦争映画『キングダム/見えざる敵』。
OP映像はコンパクトかつスタイリッシュにサウジの歴史とアメリカとの関係を描き、そのまま無慈悲かつ残虐なテロ攻撃によって仲間を喪った主人公たちの怒りと共に物語が動き出す。

他国の捜査官を招く事で自国の情勢を露呈したくないサウジと、石油の為に良好な関係を保ち続けたいアメリカの思惑、現地の規律や捜査方針、絶対的権力を有する王族など、両国の思惑やカルチャーギャップが丁寧に描かれており興味深い。

そして後半で一気に畳み掛けるアクションシーンは製作にマイケル・マンの名前があるだけあって迫力満点!!。
リアル系で泥臭いが、監督は別の人なので主人公達の弾が良く当たるファンタジー要素もあって小気味よく観れる。

テロの実行犯が「熟睡できるから活動を続けている、死者の顔が頭から離れなくなれば眠れなくなり活動を止める」とひどく利己的で自分勝手な言い分を述べるのだが、それがとても真に迫っており、主人公とテロリストが大切な人を奪った相手に同じ言葉を口にする場面も背筋がゾクっとさせられた。

国や文化が違えど好意を示す「握手」という行為が、犯人を見つける手掛かりにもなっていたり、この作品は深いメッセージが随所に散りばめられていて、色々と考えさせられる。

ラストも登場人物は誰一人笑顔が無く疲れきっている。
それもまた終わりなき報復の連鎖が続く現実を表したものなのだろう。